Đề thi tiếng Nhật 2008 – Đọc hiểu và ngữ pháp 1Kyu

読解・文法  (200点90分)

問題には解答番号の①、②、③…    が付いています。解答は、解答用紙に
ある同じ番号の解答欄にマークしてください。
Mỗi một số 1, 2, 3…được cho là tương ứng với một câu hỏi. Đánh dấu câu trả lời của bạn vào ô trống bên dưới.
問題Ⅰ次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。答えは、1・2・3・4から最
も適当なものを一つ選びなさい。
秋に入ると学校では、①読書週間という奇妙な週がやってくる。普段は図書館に足を踏み入れもしない子どもたちが、みんな指定の図書を探して、嫌々やってくるのを僕は不思議に眺めていた。読みたくない本を読んで感想文を書け、と先生から指令がくだるのだ。 先生に言われなくても、僕は昔から本の虫だった。読書週間の標語を読むと、 「読書は世界の見える窓」「本は心の栄養」 などと利益を謳(うた)った文句が並んでいる。先生は、読書をする子はよい子で、頭がよくなると自信を持って勧めていた。頭をよくするのは教育者の仕事だ。その義務を忘れて本に子どもを教育してもらおうとするのは(注1)怠惰(たいだ)な職務放棄にすぎない。僕は(注2)一発でこの先生の能力を疑った。 僕は所謂(いわゆる)アタマのいい子だった。子どものしがちな無茶なことはせず、大人の命令に逆らわない(注3)従順(じゅうじゅん)な児童だった。教室の壁には誰が何冊本を読んだか、という(注4)営業マンのようなグラフが作成され、能力を競っていたように思う。馬鹿馬鹿(ばかばか)しいと嗤(わら)っていると(注5)白羽(しらは)の矢が僕に刺さった。 「彼は本を読むから成績がいいんです!」 先生は僕を象徴にして読書を推進しようとしている。②それは大きな間違いだ。僕の成績 がよかったのは普段真面目に授業を聞いているからだし、きちんと家で勉強していたから だ。他の小学生は(注6)のびのびと育っていて、誰も勉強などしないから、差が出るのは当 然のことだった。 読書をすれば賢くなるという(注7)幻想(げんそう)は、どうして出来上がったのだろうか。僕はその 誤解の(注8)根源(こんげん)を子どもたちに見た。いつも図書館に現れない子どもは無理に広げた本を 前に(注9)煩悶(はんもん)しているではないか。これはほとんど(注10)拷問(ごうもん)に近いものがある。(③) 彼らは勉強の姿勢で本を読んでいるのだ。こんな読み方では楽しくないだろう。 本の楽しみとは、ここではないどこかに飛んでいける冒険につきる。旅行の楽しみと読 書は近いものがある。僕は本で冒険をし、知らない世界に旅をした。 (中略) 人は誰もが「もうひとつの世界」を夢みる。新しい環境、新しい政治、新しい自分、誰もが現実の中に小さな(注11)違和感(いわかん)を抱えて、変化を望み、そしてこの現実は簡単に変わることがないと諦(あきら)めている。そんなとき最も安価(あんか)で確実な変化をもたらしてくれるのが、読書なのだ。 読書とは教育ではなく、(注12)世知辛(せちがら)い現実を捨てて、豊かな世界に耽(ふけ)ってしまう人の (注13)性(さが)であり、現実を忘れさせる合法(ごうほう)的な(注14)麻薬(まやく)である。 「彼らはまだ勉強をする義務がある。子どもに本の味を教えるのはちょっと早いかもし れない」 と言う大人がいないのが残念である。
(池上永一『やどかりとペットボルト』による)
(注1)怠惰(たいだ)な:するべきことを怠けてしない
(注2)一発で:この一回のことで
(注3)従順(じゅうじゅん)な:指示に素直に従い行動する様子
(注4)営業マン:営業を担当する社員
(注5)白羽(しらは)の矢が刺さる:多くの人の中から特に選ばれる。普通「白羽の矢が立つ」と言う。
(注6)のびのびと:自由に
(注7)幻想(げんそう):ここでは、誤った理解や考え
(注8)根源(こんげん):もともとの起こり
(注9)煩悶(はんもん)する:深く悩み苦しむ
(注10)拷問(ごうもん):体に苦痛を与えたりしてひどく苦しませること
(注11)違和感(いわかん):自分の気持ちや感覚に合わない感じ
(注12)世知辛(せちがら)い:暮らしにくい
(注13)性(さが):生まれたときから持っている性質
(注14)麻薬(まやく):習慣性があり使い続けると中毒になる物質
問(1) ①「読書週間という奇妙な週」とあるが、どうして奇妙なのか。[1]
1.いつもは図書館に来ない子どもたちが図書館で好きな本を読むから
2.本を読めば世界のことがよくわかったり心が豊かになったりするから
3.先生が推薦した本を学校の図書館で探して読まなければならないから
4.子どもの気持ちを大切にせずに無理に本を読ませようとするから
問(2) ②「それ」とは何か。[2]
1.読書週間という名のもとに、子どもたちに無理に多くの本を読ませようとすること
2.どれだけたくさんの本が読めるか、営業マンのようなグラフを使って子どもたちに競争させること
3.先生の話を真面目に聞いて家でもきちんと勉強しているから、筆者の成績がいいこと
4.本を読むから成績がいい例として筆者を挙げ、他の子どもたちにもっと本を読ませようとすること
問(3) 小学生の時の筆者はどのような子どもだったか。[3]
1.先生を信じることができず、空想の世界に遊ぶ子ども
2.先生を尊敬し、ひたすら先生の教えを実践する子ども
3.先生を心の底で馬鹿(ばか)にしているが、一見従順(じゅうじゅん)な子ども
4.先生に従い、空想と現実を混同しない理性的な子ども
問(4) 筆者は何のために本を読んでいたのか。[4]
1.知らない世界を味わうため
2.学校でいい成績を取るため
3.賢くなり現実を楽しむため
4.勉強する義務を果たすため
問(5) (③)に入る最も適当な言葉はどれか。[5]
1.しかし
2.ゆえに3.ただし

4.つまり

問(6) 読書と旅行が似ている点は何か。[6]
1.新しい経験をしていろいろな利益が得られること
2.日常生活から離れてわくわくすることができること
3.行ったことがない所に実際に行くことができること
4.いつでもどこでも楽しみたいことが楽しめること

問(7) 筆者は読書週間についてどう考えているか。[7]
1.読書週間にはいろいろな本を読んだほうがいい。
2.読書週間を本当の読書のための週にすべきだ。
3.読書週間のような週があってもあまり意味がない。
4.読書週間は今実施されている期間ではあまり効果がない。

問(8) 本文の内容に合っているのはどれか。[8]
1.読書は、子どもに事実を教えてくれるものである。
2.読書は、子どもの時からの習慣が影響するものである。
3.読書は、現実の理解のためにするものである。
4.読書は、自分から好きな本を楽しむものである。

問題Ⅱ次の(1)から(4)の文章を読んで、それぞれの問いに対する答えとして
最も適当なものを1・2・3・4から一つ選びなさい。
(1)カナダの作曲家シェーファーは、音環境をサウンドスケープという視点から捉(とら)えること を(注1)提唱(ていしょう)し、運動を展開している。サウンドスケープは“音の風景”と訳すことができ るだろうが、これは、都市空間をはじめ、あらゆる環境の中で不愉快な雑音が我々の生活 を害するようになった現在、音環境を含めて生活のすべての面で快適性を高めたいという 社会的(注2)ニーズの表れであろう。 日常生活を妨げる音をできるだけ防止するために、その場・時間・状況に応じて適切な 環境音楽が流されている。環境音楽は、快適性を音環境の中に取り入れたものといえる。 現代の文明は騒音をますます増大させているが、同時に最新の技術によって発生騒音を少 なくする努力も大いになされるだろう。 しかしながら、我々は生活の中で、環境音楽と考えてかえって不必要な音や音楽を流し すぎていないだろうか。いや、たれ流しているといってもいいぐらいだ。ドイツの大指揮 家カール・ベームは、筆者も何回となく来日の折に聴(き)いているが、ある時東京のデパート のエレベーターに乗り、そこに流れていたドイツの古典音楽を聞いて非常に憤慨したそう である。

(注3)いとも安易にクラシック音楽が東京の町中に氾濫(はんらん)していることにベームは(注 4)業(ごう)を煮やしたのだろう。遠山一行(とおやまかずゆき)さんのような批評家がいう、「クラシック音楽は他者 との出会い」という(注5)厳しいストイックな見方と現実は大きく違ってしまい、我々はあ まりに(注6)イージーに音楽を氾濫させていると筆者は思う。そして、それが非常に商業主 義と結びついていることが多いと筆者は(注7)危惧(きぐ)しているのである。
(江口文陽・尾形圭子・須藤賢一『生活環境論』による)
(注1)提唱(ていしょう)する:自分の意見や考えを人々に示して呼びかける
(注2)ニーズ:必要性
(注3)いとも:大変、非常に
(注4)業(ごう)を煮やす:思うように行かず、腹を立てる
(注5)ストイックな:欲求や楽しみをあえて抑える様子
(注6)イージーに:安易に
(注7)危惧(きぐ)する:心配する

問(1) カナダの作曲家シェーファーの展開する運動とはどのような運動か。[9]
1.都市空間に美しい風景をイメージさせる音楽を流し、生活環境を向上させ
る。
2.カナダの作曲家が始めたサウンドスケープという運動に基づいて音環境を作り上げる。
3.生活の快適性を高めるために、環境音楽などを用いて音環境を整える。
4.場所、時間、状況に応じて、適切な環境音楽としてクラシック音楽を流す。

問(2) 本文によると、環境音楽とはどのようなものか。[10]
1.日常生活の不快な音をさえぎるために流されているもの
2.豊かな自然に囲まれた環境の中で聞くことができるもの
3.筆者が日常生活の中で安易に聞かされているもの
4.現代文明が作り出した環境の中から自然に生じたもの

問(3) 「厳しいストイックな見方」とはどのような見方と考えられるか。[11]
1.外では音楽を全く流さず、他人が不愉快にならないよう配慮する。
2.クラシック音楽を聴くには、ふさわしい時と場を選ぶ必要がある。
3.増大しつつある騒音は、種々の音楽を流すことで緩和するべきだ。
4.日常生活を妨げる騒音は、社会にあってはならないので排除する。

問(4) 筆者はこの文章を通して何を批判しようとしているのか。[12]
1.「クラシック音楽は他者との出会い」という見方が広がること
2.日常生活の騒音を減少させようとするより環境音楽でそれを隠そうとすること
3.商業主義と結びついて安易に音楽を町中に氾濫(はんらん)させること
4.環境音楽を流しすぎてかえって町中の騒音を増大させること

(2)家事労働は、やってみると案外と簡単なものだ。嘘だと思う男性諸君は、一度やってみるといい。今はいい洗剤があるから皿洗いは楽だし、研(と)いだ米に分量の水を入れて、スイッチを押せば自然に炊きあがる電気炊飯器(すいはんき)という便利な器械もある。やる気になれば男だって一人で飯をつくり、暮らして行けないことはない。 わが家は、妻が毎日仕事に出かけ、僕は家で仕事をしているから、生活のパターンがふつうのサラリーマン家庭とは逆になっている。 そうは言っても、仕事から帰って来た妻が食事を作り、後片付けもしていた。それを見て、大変そうだなと思い、後片付けくらいはしてやるよと気軽に台所に立ってみた。ところが、やってみると案外に楽しかった。汚れた食器が次々にきれいになっていくのはなかなか気持ちのいいものだ。わずか10分か15分で、ひと仕事終えたという労働の充実感も味わえる。この、ひと区切りつくというのが家事労働の面白いところかもしれない。 60歳を過ぎた僕がこんなことを言うと、同年輩(どうねんぱい)の(注1)亭主(ていしゅ)族からはなんと(注2)甘っちょろいと思われるかもしれない。20代30代からは、なんで今さらそんなことに気づいたのだと言われそうだ。 「最近の女性は耐えるということを知らない」などと世間では言っている。確かに昔に比べると、我慢するということが少なくなったようだが、これは()ことだと思う。 昔の女性が我慢していたのは、経済力がなくて夫に養われているという意識があったからだろう。今は、仕事を持ったり(注3)パートタイムで働いたりして、ちゃんと収入を得られるようになった。しかも、亭主が汗水たらして働いていても、たいして高い給料をもらっているわけではないのだという現実もわかってくる。 (中略) わが家の場合、今の若夫婦のように、権利だ義務だと分けて、家事を分担しているのではない。なんとなくそういう具合になっている。とはいえ、サラリーマンを続けていたら、なんとなくそういう具合にはならなかっただろう。権利だ義務だというのは、(注4)押しなべて世間に広がらなくてはならない決まりである。家庭にそんなものはいらない。家庭にあるのは(注5)流儀(りゅうぎ)だろう。サラリーマンにはサラリーマンの家庭の、わが家にはわが家の流儀がある。 おおまかであって、伸縮(しんしゅく)自在だけれども、ひとつの流れになっているという曖昧(あいまい)な流儀(りゅうぎ)が、おおまかな僕には似合っている。
(常盤新平『ベストパートナー―「夫婦」という名の他人』による)
(注1)亭主(ていしゅ):夫
(注2)甘っちょろい:考えが甘い
(注3)パートタイム:正規の雇用ではない短時間の労働
(注4)押しなべて:全体にわたって
(注5)流儀(りゅうぎ):物事のやり方、手法

問(1 ) ()に入る最も適当な言葉はどれか。[13]
1.つまらない

2.いい

3.おどろくべき

4.よくない

問(2 ) 筆者は、どうして今の女性は我慢をしなくなったと考えているか。[14]
1.家事労働は女性の義務ではなく、男性も相応に分担するべきだという考え方が広がったから
2.人々が権利や義務について考えるようになり、女性も権利を主張できるようになったから
3.経済力をつけたので、亭主(ていしゅ)が糘ぐということをそんなに偉いこととは思わなくなったから
4.経済力がなくても、妻は夫に養われているという考えを持つ女性が少なくなったから

問(3) 筆者が家事労働を始めた理由は何か。[15]
1.家事は夫婦で分担するものだという考えに共鳴したから
2.経済力がなくなり家事を分担せざるを得なくなったため
3.男性が台所に立ちたくなるような環境が整ってきたから
4.外での仕事を持つ妻の負担を多少なりとも軽減するため

問(4 ) 筆者は、家庭における夫婦の役割は何によって決まると考えているか。
[16]
1.それぞれの家の事情に沿った独自のやり方
2.家事は女の仕事だという伝統的な社会規範
3.世間全体に受け入れられるべき価値基準
4.家事は男女が平等に分担すべきだという考え方

(3)桜が終わり、さまざまな春の花がいっせいに咲きそろうころになると、少しばかり憂鬱(ゆううつ)になる。(注1)自分をもてあます。例年春が終わるまでは憂鬱に沈みこんで過ごすのだが、先日ちょっと①目を見開かされることがあった。 見開いてくれたのは、小学生の少年である。彼と私はときおり「世間話」をする仲だ。あるとき彼は、「あのね、おばちゃん。ぼくね、自分がへんな顔してるんで、いやだったんだ」と始めたのだ。 驚いた。彼を知ってから何年かになるが、そんなことを思っているとは、(注2)つゆ知らなかった。彼の顔を私は(注3)まじまじ眺めた。なるほど平凡な、これといった特徴のない顔である。へんな顔だちだろうか。わからない。子供らしさがかがやいている顔ではあるが。 「洗面所の鏡を見るたびにね、悲しかったの」。そうなの、と私は(②)に答えた。話がどう展開するのか、緊張していた。彼はごく真剣である。 「見るたびにへんな顔、って思ってた」 へんじゃないと思うけどなあ。私はさらに(②)に言った。 「いや、へんだった。へんなんで、あんまり鏡を見ないようにしてた」。うーん。 「そしたらね、一年前に引っ越した家の玄関に大きな鏡があったの」。うん。 「毎日何回も、玄関で自分を見ることになるんだよ。③いやだった。ところがね、ぼく」。 そこで彼は(注4)照(て)れて言葉をとぎらせた。ところが? 「そのうち自分の顔をへんじゃないと思うようになったんだ。けっこう可愛いって思うようになったんだよ。」そうかあ、そうなのかあ。よかったね。「よかったよ」。彼は嬉しそうに頷(うなず)いた。 でもなぜ、と私は聞いた。なぜ?「あのね、毎回顔見るたびに、へんじゃない、へんじゃない、って自分に言い聞かせたんだ。そしたら、いつの間にか、へんじゃなくなったんだよ」。ふうん、と私はうなった。 「ずっとへんだったら、自分がかわいそうでしょ。だからね、ぼく、一生懸命言い聞かせたんだよ」。そう彼は話を(注5)しめくくったのである。 教えられてしまった。憂鬱な気分にひたりこんでいる自分が、恥ずかしかった。桜は散り、月日は過ぎ去る。(注6)無為(むい)に(注7)うつうつしていてかわいそうなのは、じつに自分自身なのであった。

(川上弘美『なんとなくな日々』による)
(注1)自分をもてあます:どうしていいかわからなくなる
(注2)つゆ知らない:少しも知らない
(注3)まじまじ:視線をそらさないでじっと
(注4)照(て)れる:恥ずかしそうな顔をする
(注5)しめくくる:話をまとめて終わる
(注6)無為(むい)に:何もしないで
(注7)うつうつ:心がふさいで楽しくない様子

問(1 ) ①「目を見開かされること」とあるが、それはどんなことか。[17]
1.鏡に映る自分の姿を見つめ直すことで、本当の自分のよさが見つけられたこと
2.憂鬱(ゆううつ)な気分は自分の気持ちの持ちようで変えられるのだということに、気づいたこと
3.少年と真剣に向き合わず、少年の顔の悩みに気づかなかったのをすまなく思ったこと
4.先日この少年と知り合いになったことで、それまでとは違う新しい自分を発見できたこと

問(2) (②)に入る最も適当な言葉はどれか。[18]
1.慎重

2.冷淡

3.愉快

4.親切

問(3) ③「いやだった」とあるが、少年は何がいやだったのか。[19]
1.大きな鏡がある家に引っ越したこと
2.毎日へんな顔の自分と向き合うこと
3.洗面所の鏡を見ることができなくなったこと
4.自分の顔がへんだと自分自身で認めること

問題Ⅲ次の(1)から(5)の文章を読んで、それぞれの問いに対する答えと
して最も適当なものを1・2・3・4から一つ選びなさい。
(1)石油や石炭、天然ガスといった化石燃料を燃やせば、二酸化炭素が発生します。これが大気中に蓄積されると、地球が暖まると言われています。読者のみなさんならばご存知のことでしょうが、一般には思ったほど知られていないようです。 国立環境研究所の青柳みどりさんのチームが、全国の成人男女にアンケート調査を行ないました。「地球温暖化の影響でもっとも深刻なもの」についてあげてもらったところ、最も多かった回答が「(注)オゾン層(そう)の破壊」で59.6%でした。続いて首都圏在住の25歳以上の男女へのインタビュー調査をしたところ、多くの人たちが、こんどは逆にオゾン層破壊が温暖化の原因と考えていました。 このニュースは、環境問題の研究者や行政官にはかなりの衝繋をもって受け止められました。私自身もショックです。大多数の市民にとって、環境科学の壁は思った以上に厚く高いのかも知れません。

(藤倉良『環境問題の杞憂』による)
(注)オゾン層(そう):薄く地球全体を取り巻いている気体(O3)の層
問(1) このニュースについて、筆者がショックを受けた最大の理由は何か。[20]
1.地球温暖化とオゾン層(そう)の破壊は関係ないと考える人が多かったから
2.二酸化炭素はオゾン層の破壊には関係しないと考える人が多かったから
3.オゾン層の破壊の原因と結果を正確に理解している人が多かったから
4.地球温暖化の原因と結果を誤って理解している人が多かったから

(2)「緑を、」とポスターに刷られた(注1)スローガンの、簡潔きわ まりない一語のために、迷わずその女性(注2)立候補(りっこうほ)者に、一票 を投じたことがある。もっと正確に言えば、彼女を選ぶことを私 に決定づけさせたのは、上の「緑を」ではなく、下に付けられた 「、」のほうなのであった。 語句の構成上からも、(注3)読点(とうてん)は、あとに続く言葉のあるし るし。私どもが推進しようとしている緑化(りょっか)運動は目下進行中。 目標達成まで頑張りますので何卒(なにとぞ)ご支援を――、と余白(よはく)に彼女は 語らせているのである。一見言葉足らずに見せて人目を引く、それ こそが彼女の「政策」であったのかも知れないのだが。
(新川和江「句読点」『こころの風景』朝日新聞二00六年九月二五日付夕刊による)
(注1)スローガン:標語
(注2)立候補(りっこうほ):ここでは、選挙に出ること
(注3)読点(とうてん):「、」のこと

問(1) 筆者がこの女性立候補(りっこうほ)者を迷わず選んだ最大の理由はどれか。[21]
1.ポスターの読点(とうてん)の使い方の巧みさに注目したから
2.ポスターの読点の使い方が大変評判がよかったから
3.緑化(りょっか)運動には筆者も支援の必要を感じていたから
4.緑化運動の推進を達成すべき目標にしていたから

(3)人々はよく、何か問題があると、その原因をひとつのものに代表させて集中攻繋し、それによって問題全てが解決したかのように思い込むことがある。今その格好の例となっているのがレジ袋だ。スーパーやコンビニエンスストアでお金を払うとき、買ったものを入れてくれるビニール袋のことである。地球温暖化が進む現在、このレジ袋はごみになりやすいとして、商店は消費量を減らすことが義務づけられた。だが、そのほかのプラスチックについては何も言われない。ペットボトルも食品も包む透明なラップもジュースを飲むストローもこれまでどおりである。レジ袋を断った人が大量のペットボトル飲料を買っているのを見るにつけ、何のためのレジ袋規制なのか分からなくなる。

問(1) 筆者の言いたいことは次のどれか。[22]
1.レジ袋規制だけを促進しても、プラスチック全体の消費量はそう減らないだろう。
2.レジ袋規制は無駄なことであるので、すぐやめるに越したことはない。
3.レジ袋規制で他のプラスチック製品にもその効果が波及する可能性がある。
4.レジ袋規制によって地球温暖化の深刻さが認職されるのは歓迎すべきこと
だ。

(4)人間は、本能的に(注1)何らかの刺激を求めるのではないだろうか。その刺激のひとつは味であり、また、味以外のものもある。今、この刺激ということばを、人間の嗜好(しこう)といったものにいいかえてみると興味ある事実がいくつも出てくる。
さて、嗜好品というものを考えてみよう。嗜好品はかならず刺激というものをもっているのが発見できるだろう。味では、塩味や甘味はつねにないとどうにもならない味であるが、苦味や酸味は、ときどきそれを味わうことで、刺激として感じる。香辛料のピリリとした辛さなども刺激のひとつだ。アルコール飲料も同じである。 また、こういった嗜好品を(注2)たしなむばあい、その刺激が強いほど満足感がえられる。そしてその刺激が、生きることのひとつの大きな刺激となってはね返ってくる。酒がなくて何が人生ぞなどということばは、あきらかに酒という嗜好品が、生きることへの()を与えているひとつの証拠とみてもよいだろう。
(河野友美『味と文化』による)
(注1)何らかの:何かの
(注2)~をたしなむ:~が好きで親しむ

問(1) ()に入る最も適当な言葉はどれか。[23]
1.興味

2.嗜好(しこう)

3.刺激

4.満足感

(5)下のグラフは、1971年度と2007年度に行われた調査での「会社を選ぶときどんなことを最も重視したか」という質問に対する新入社員の答えをまとめたものである。 (グラフは社会経済生産性本部と日本経済青年協議会「平成19年度新入社員
(3849人)の『働くことの意識』調査結果」
[http://activity.jpc-sed.or.jp/detail/lrw/activity000821/attached.pdf]2007.7.14取得による)
(注1)やむなく:しかたなく
(注2)グランド:運動場
(注3)福利厚生(ふくりこうせい):会社が社員と家族の生活を豊かにするために作った制度や設備など

問(1) グラフの説明として最も適当なものはどれか。[24]
1.この間の変化を見ると、「会社の将来を考えて」が最も大きく減少してい
る。一方、最も増加しているのは「技術が覚えられるから」である。また、次に伸びが目立っているのは「自分の能力、個性が生かせるから」である。
2.この間の変化を見ると、「会社の将来を考えて」が最も大きく減少してい
る。一方、最も増加しているのは「自分の能力、個性が生かせるから」である。また、次に伸びが目立っているのは「技術が覚えられるから」である。
3.この間の変化を見ると、「会社の将来を考えて」が3分の1に減少してい
る。一方、「自分の能力、個性が生かせるから」は最も大きく増加している。また、次に伸びが目立っているのは「仕事がおもしろいから」である。
4.この間の変化を見ると、「会社の将来を考えて」が3分の1に減少してい
る。一方、「自分の能力、個性が生かせるから」は最も大きく増加している。また、次に伸びが目立っているのは「一流会社だから」である。

問題Ⅳ次の文の________にはとんな言葉を入れたらよいか。1・2・3・4から最も適当なものを一つ選びなさい。
問(25) 近くに用事があったものですから、先日のお礼伺いました。
1.につき

2.ゆえに

3.かたがた

4.と言わず

問(26) 医者は手術の間、一瞬気が抜けない。
1.たりとも

2.どころか

3.のみか

4.までも

問(27) 国民の生活をよりよいものにすること、それが政治家者の使命だと考えます。
1.ある

2.する

3.たる

4.よる

問(28) 彼は自らのつらい体験を涙語った。
1.がちで

2.ながらに

3.におよんで

4.はもとより

問(29) 友人の家でごちそうになった料理は、家庭料理素朴な味わいだった。
1.めく

2.ごとき

3.ばかりか

4.ならではの

問(30) どのような困難な状況に、あきらめてはいけない。
1.つけて

2.とって

3.あっても

4.かけても

問(31) 彼女の働きがあれば、計画が順調に進んでいるのだ。
1.こそ

2.しか

3.すら

4.だけ

問(32) 借金遊びに行ったと聞いて、あきれてしまった。
1.してまで

2.せずとも

3.にからんで

4.とあいまって

問(33) 小学生、大学生がこんな簡単な計算ができないなんて信じられない。
1.ともなれば

2.にさきがけて

3.でもしかたなく

4.ならいざしらず

問(34) 悲惨な子どもたちの姿を見たの、この支援活動を始めたのです。
1.に関して

2.を除いて

3.もかまわず

4.がきっかけで

問(35) 検査の結果が次第、ご連絡いたします。
1.わかる

2.わかり

3.わかって

4.わかった

問(36) 信用というものは、いったん失った、取り戻すのは難しい。
1.末に

2.が最後

3.ものの

4.とみるや

問(37) うそをつくことは、どんな理由許されない。
1.だに

2.であれ

3.ならば

4.にてらし

問(38) 仕事がたまっていて、連休と毎日出社しなければならない。
1.いえども

2.いえれば

3.いうならまだしも

4.いったからには

問(39) 普段はおとなしい彼があんなに怒る、よほどひどいことを言われたのだろう。
1.とは

2.ときたら

3.といっては

4.とばかりに

問(40) 電車の窓から外を見る見ていたら、高校時代の同級生の姿が目に入っ
た。
1.かたわら

2.ともなく

3.につれて

4.のみならず

問(41) 新聞には、事実、正確な情報を提供してほしい。
1.なりに

2.とあって

3.に即して

4.をよそに

問(42) その会社は、先週発表した新型車を、次々と新しい車を発表するそうだ。
1.おいて

2.もって

3.かぎりに

4.かわきりに

問(43) 夢を、日々努力している。
1.かなえるまいと

2.かなえるまじく

3.かなえんがため

4.かなえないものを

問(44) 応援の、私のクラスのチームは一勝もできなかった。
1.反面

2.おりから

3.こととて

4.かいもなく

問題Ⅴ次の文の________にはどんな言葉を入れたらよいか。1・2・3・4から
最も適当なものを一つ選びなさい。

問(45) 自分の作品がこんなに大勢の人に評価されるとは、本当にうれしい。
1.きりだ

2.かぎりだ

3.ほどだ

4.ぐらいだ

問(46) その会社の業績が上がったのは、経営改革の成果と。
1.言わずじまいだ

2.言ってやまない

3.言ってたまらない

4.言えよう

問(47) 彼女は、自分の考えをはっきり主張する点はいいのだが、少し頑固な。
1.ところがある

2.はずがない

3.きざしがある

4.わけがない

問(48) どんなに美しい花でも、散ってしまえば。
1.これまでだ

2.それまでだ

3.それからだ

4.これからだ

問(49) このまま海面の上昇が続けば、これらの島々が海の中に沈んでしまうことも。
1.ありうる

2.ありえない

3.しうる

4.しえない

問(50) 異文化間の交流には、相手を理解しようという姿勢。
1.をものともしない

2.のままだ

3.に基づいている

4.が欠かせない

問(51) その器具は確かに便利そうだが、なくても困らないのだから、わざわざ買う。
1.ところだ

2.ことだ

3.どころではない

4.ことはない

問(52) 先生、最近あまりお会いしていませんが、お元気でお過ごしのこと。
1.としか存じません

2.を存じます

3.と存じます

4.しか存じません

問(53) 私の店はまだ有名ではないが、いずれは皆に「この店の料理は最高だ」と。
1.言ったとおりだ

2.言うはずもない

3.言わせてみせる

4.言いようもない

問(54) 「まあ、なんてきれいな夕焼けだ。」
1.こと

2.かしら

3.もの

4.かな

問題Ⅵ次の文の________にはとんな言葉を入れたらよいか。1・2・3・4から最も適当なものを一つ選びなさい。
問(55) この燃料は、空気も汚さないし、費用も安く抑えられる。本当にいいこと。
1.だけではすまない

2.きわまる

3.ずくめだ

4.にとどまらない

問(56) そんな遠い店まで買いに行くよ。電話で注文すればすぐ届くんだから。
1.始末だ

2.よりほかない

3.のも同然だ

4.までもない

問(57) 学校を休んでいる友達に何度も電話をしたが通じない。何かあったのか。
1.心配してはいけない

2.心配でならない

3.心配でもない

4.心配しかねない

問(58) 現代は物質的に豊かになっている。だから、ものの大切さがわからない若者がと思う。
1.増えてもやむを得ない

2.増えてはかなわない

3.増えるべきだ

4.増えるものか

問(59) 石油の価格が上がったために、我が社の業績は下がった。しかし、だけまだましだ。
1.利益にならない

2.損失が出ない

3.給料がもらえない

4.仕事ができない

文字・語彙 解答
問題 1
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15)
問題 2
(16) (17) (18) (19) (20)
問題 3
(21) (22) (23) (21) (22) (23) (24) (25) (26) (27) (28) (29) (30) (31) (32) (33) (34) (35)
問題4
(36)
C
問題 5
(41) (42) (43) (44) (45) (46) (47) (48) (49) (50) (51) (52) (53) (54) (55)
問題 6
(56) (57) (58) (59) (60)
問題 7
(61) (62) (63) (64) (65)

聴解 解答
問題 1
(1) (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15)
問題 2
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読解・文法 解答
問題 1
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8)
問題 2
(1) (2) (3) (4) (1 ) (2 ) (3) (4 ) (1 ) (2) (3)
問題 3
(1) (1) (1) (1) (1)
問題 4
(25) (26) (27) (28) (29) (30) (31) (32) (33) (34) (35) (36) (37) (38) (39) (40) (41) (42) (43) (44)
問題 5
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問題 6
(55) (56) (57) (58) (59)